転倒予防運動
高齢化により、バランス能力および移動歩行能力の低下が生じ、閉じこもり、転倒リスクが高まった状態を、運動器不安定症と言います。つまり、転倒しやすい虚弱高齢者を意味します。
転倒・骨折を予防し、寝たきり・要介護状態にならないために、日頃から運動を実践することが重要です。
ただし、個人の年齢・体力・関節可動域・背骨の変形・健康状態などに応じて、内容を考える必要があり、以下のものが、すべての人に適切なわけではありません。尚、すべての運動はゆっくり行うことが大切です。
ストレッチ
  A.背伸び
   
あおむけで、バンザイの姿勢をとり、からだ全体を伸ばします。
   
  B.両膝かかえ
   
あおむけで、両手で両膝をかかえ込み、背中や臀部を柔軟にします。
           
  C.片膝かかえ
   
Bの状態から片方の脚を伸ばし、伸ばした方の、脚のつけねを柔軟
   にします。対側も同様に。

  
  D.腰ひねり
   
あおむけで、両手を広げ、膝を立てた状態から、両脚を片方に倒し、
   腰やおなかを柔軟にします。対側も同様に。

       
  E.足首かかえ
   
横向きで、上になった脚の膝を曲げ、足首をかかえ、ふとももの
   つけね〜前を柔軟にします。対側も同様に

    
  F.つま先のばし
   
あおむけで、つま先を伸ばし、すねの前を柔軟にします。
   ふくらはぎの筋力もつきます。

  
  G.つま先そらし
   
あおむけで、つま先をそらせ、ふくらはぎを柔軟にします。
   ふとももの前や、すねの前の筋力もつきます。

   
  H.胸そらせ・へそのぞき
   
椅子に座った状態で行い、背中を柔軟にします。
  

筋力訓練
  
体力に応じて、以下の運動を、5〜10〜20回行う。
  
A.おなかの筋肉(腹筋)
   
A-1 あおむけで、両膝を立てた状態から、上体を起こします。
      5秒間静止し、元にもどす。
      高齢者の場合、次のA-2のほうが適しているでしょう。

    
   
A-2(体力のない人向き)
      あおむけで、両膝を立てた状態から、頭を持ち上げ、へそを
      のぞくようにします。おなかの上に置いた手で、腹筋に力が
      入っていることを確かめながら行いましょう。
      5秒間静止し、元にもどす。

    
  B.背中の筋肉(背筋)
   
B-1 うつぶせの姿勢から、上体を反らします。
      5秒間静止し、元にもどす。
      高齢者の場合、次のB-2もしくはB-3が適しているでしょう。 

    
   
B-2(体力のない人向き)
     おなかの下に枕を入れたうつぶせの姿勢から、上体を少し浮か
     せます。5秒間静止し、元にもどす。

    
   
B-3(体力のない人向き)
     うつぶせで、両肘を曲げた状態から、上体を起こします。
     5秒間静止し、元にもどす。

    
  C.ふとももの前の筋肉(大腿4頭筋)
   
あおむけで、膝を伸ばした状態から、床から約20cmの高さまで
   脚を持ち上げます。5秒間静止し、元にもどす。対側も同様に。

    
  D.おしりの横の筋肉(中殿筋)
   
横向きで、股を開くように、床から約20cmの高さまで脚を持ち上げ
   ます。5秒間静止し、元にもどす。対側も同様に。

  
   
  E.ふとももの内側の筋肉(内転筋)
   
あおむけで、伸ばした両脚の間にボールや枕をはさみ、内側に力を
   入れます。5秒間静止し、元にもどす。

   
  F.おしりの後ろの筋肉(大殿筋)
   
あおむけで、両膝を立てた状態から、背中は床につけたまま、おしり
   を持ち上げます。5秒間静止し、元にもどす。

        
  G.ふとももの後ろの筋肉(大腿屈筋)
   
うつぶせで、片方の膝を曲げます。5秒間静止し、元にもどす。
   対側も同様に。
    
  H.よつばいバランス
   
よつばいから、左腕と右脚を持ち上げます。5秒間静止し、元に
   もどす。対側も同様に。
   筋力訓練とバランス訓練を兼ねています。

  
  I.立位での屈伸
   
立位で、両膝を軽く曲げ、5秒間静止し、伸ばす。
   I. J. K. の運動は、不安定な場合、壁にもたれたり、物に手をそえた
   状態で行うとよいでしょう。

     
  J.ふくらはぎの筋肉(下腿3頭筋)
   
立位で、両かかと浮かせ、つま先立ちします。5秒間静止し、元に
   もどす。

     
  K.すねの前の筋肉(前脛骨筋)
   
立位で、かかとを壁から少し離し、両つま先を持ち上げます。
   5秒間静止し、元にもどす。

     
バランス訓練
  
A.片足立ち(開眼)
   
両目をあけた状態で、片脚を少し上げます。バランス能力に応じて、
   30〜60秒程度続けましょう。対側も同様に。
   不安定な場合、すぐに手をつくことが出来る場所で行いましょう。
   より不安定な場合、壁や机などに軽く手を添えながら行いましょう。
   この片足立ちは、日常生活のさまざまな場面で、簡単に行うことが
   出来、しかも有効な方法です。

     
  B.つぎ足歩行
   
後ろ足のかかとを、前足のつま先の前に持って行くようにして、
   直進します。

     

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